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『チーム日産~モータースポーツにかける者たち』 第15回 カルソニック IMPUL GT-R ドライバー 松田次生

2013.11.15 Fri

日産モータースポーツを支える者たちに、あらたな光をあてるコラム。
第15回は、先ごろ、もてぎでの最終戦を終えた
カルソニック IMPUL GT-Rのドライバー松田次生。
誰よりもモータースポーツを愛しその普及に
東奔西走する熱い思いに迫ります。

「レーシングカートやりたかったんですが、親に反対されて・・・。
じゃあ自分の足で走ろうって、陸上の選手になりました。
短距離です、100メートル、200メートル。
やっぱり早く走ることが好きだったんですね(笑)
でも、中学3年のとき、膝を壊して、半年休部して・・・。
親に内緒でカートのライセンスとりました。もう迷わなかった」

なんだろう・・・松田のふわっとひとを包み込む柔らかい雰囲気。
今まで会ったどのドライバーとも雰囲気が違った。
「初めから速かったわけじゃありません。
せっかく買ってもらったカートも数回走っただけで全損。
その頃から、アグレッシブだった。とにかく負けるのが悔しくて、
もう努力しかないと思いました。中学3年のときにはもう、
レースの世界で生きていきたいと本気で考えていました」

加速するように、松田の瞳に厳しさが増していった。
「好きで入った世界ですが、“競う”っていうのは、大変なことです。
生き残っていかなきゃいけない。そのプレッシャーはすごいです。
メンタル、フィジカル、その両方を要求される。特にGTは、
戦略だったりする。前を走るクルマの状況を見る、抜くチャンスを
探る。自分のマシンの状態を冷静に判断する。配分を考える。
瞬発力と持続力。本当にタフなスポーツだと思います。
勝てないと、本当に悔しい。
その悔しさが、いつも自分を駆り立てます」
さっと視線を落とし、彼は続けた。
「星野一義監督にね、言われたひとことが、ずっと心にあります。
『プロっていうのは、自分の責任を自分でとるってことだ』。
勝ちも負けも、全部、受け入れなくちゃいけない。
その厳しさがあるから、やっぱり面白い」。

プレッシャーに打ち勝つため、ストレスを軽減するための
リフレッシュ法は?と訊いてみると・・・。
「タイムに関係なく、クルマを走らせたり・・・
ドリフトの練習したり、ですかね」
え?ドライバーとしてのストレスを軽減するのも、クルマ?
そんなのことは当然だと言わんばかりに彼は相好を崩す。
「クルマが好きなんだなって、思い出すんですよ。自分の原点に戻る。
それが何よりのリフレッシュです」
最高にいい顔で僕を見た。
人は結局、自分が好きなものでしか救われないのかもしれない。


松田は、今年、WEC―JAPAN(世界耐久選手権)の
契約ドライバーとして選ばれた。
『ル・マン』を目指す彼にとってそれは、夢への第一歩。
世界への挑戦。そんな話をする彼の瞳は、子供のようにキラキラ輝く。
果てしなく広がる彼の思いに、こちらまでワクワクしてくる。
子どものような純心と、厳しい克己心。
そんな彼だからこそ、モータースポーツの魅力をたくさん知っている。

松田は言う。
「もっとたくさんのひとに、モータースポーツの楽しさを
知ってほしい!」。
こまめに更新されるブログやマスコミへの露出。
積極的な広報活動。ひたむきな彼の姿に、誰もが応援したくなる。
「自分が乗っているクルマが日産車だから、日産のクルマを応援する、
最初はそんなところから入ってもらってもいいと思います。
専門用語をひとつ覚えるだけで、グッと親近感がわく。どんなスポーツも
そうですが、知れば知るほど、その奥深さがわかって面白くなる」


最後に手を見せてもらった。
手のひらは雰囲気そのままに優しかったけれど、
手の表は戦い抜く、男の軌跡が刻まれていた。
松田次生の童心と厳しさがそこに両在していた。

文・写真 北阪昌人

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