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新コラム『チーム日産~モータースポーツにかける者たち』スタート!トップレーサー本山哲さんの真髄に迫る

2012.09.24 Mon

今月より、新コラム『チーム日産~モータースポーツにかける者たち』シリーズが始まります。

日産のモータースポーツを支えるさまざまなひとにインタビューを敢行。

第1回目はつねにトップを走り続けるレーシングドライバー・・・過酷な環境のもと、気力と体力を賭けて、1トンものマシンを300キロ近いスピードで操る。つねに危険と隣り合わせのアスリートであるトップレーサー本山哲さんの真髄に迫ります。
本山さんインタビュー写真
(インタビュー記事は「続きを読む」から!)

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クール。沈着冷静。どこかそっけない。そんな本山哲の裏が知りたい。ニスモの会議室に、彼は、青年のように汗をふきながら現れた。

本山さんインタビュー写真

ふだんから体は、鍛えているんですか?

「いや、ぜんぜん、鍛えてないですよ」

食事は、制限したり?

「いや、とくにしてないです」

かなり手ごわい。表情を変えない。

かといってカッコつけているわけでも、壁をつくっているわけでもない。

きわめて、ナチュラル。
何かジンクスとか、縁起担ぎみたいなものは?

家を出るとき右足から出るとか・・・。

「ないです。そういうのは持たないようにしてます。同じパンツを履くとか、ラッキーアイテムとか、結局、そういうのにしばられちゃうから。あ、でも、お守りはいっぱいもらいます。あれ、うれしいんですけど、いろんな神社やお寺のお守りが一緒にいて、喧嘩になんないのかなって思います」

初めて笑った。

なぜそんなにも、冷めた視線を持っているんだろう。

「兄貴がいたからじゃないかな・・・」

兄の影響で三歳からバイクに乗り始めた。

「兄貴、真っ直ぐなひとだからね、よくぶつかるんですよ、オヤジとか先生とか。それ見て育ったから。いつの間にか、ひいて見るくせがついたのかも」
そんな本山に怖いひとはいるんだろうか?

「あ、でも、一位でゴールしても、ギリギリまできわめないでちょっと気持ちを緩めたとき、必ずあのひとの顔が浮かびます。星野さん。もっと行けよ!って言われちゃうなって。フツウのひとはわからなくても、星野さんにはバレちゃいますね」

かつて日本一速い男と呼ばれた星野一義。本山が尊敬する師匠だ。

熱血漢で彼とは正反対なタイプ。

怒られたりします?

「いや、怒られないですね。ボクはいろんなことワリと器用にできちゃうから、可愛くないんじゃないですかね」

はにかむように笑った。
言葉ではうまく崩せない。そう思ったので、最後の手段、隠せないものを見せてもらおうと思った。

手を見せてください!きっとマメだらけ、皮はめくれゴツゴツした節には努力が見えるはずだ。

本山の手は・・・。

華奢だった。綺麗だった。マメひとつなかった。

「結構普通の手ですよ」

き、きれいな、手、ですね。そういうしかない。ボクの落胆がわかったのか、「ヘルメットに1キロの重りをつけて、イチバン速いカートで練習します」と唯一、努力の片鱗を語ってくれた。
裏を知る必要などないのかもしれない。

冷静さを崩すことなど求める必要もない。

彼はただ勝つことだけを考えるアスリートだった。

「大分のオートポリスは、楽しいコースで好きなんです」

少年のように笑う。

「一番になりたいではなく、一番になるんだって思いだけです。それがチームみんなをひっぱるんです」
帰っていく彼の後ろ姿は青年というより、少年のように軽やかだった。

本山さんインタビュー写真

文・北阪昌人