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コラム第3弾、シリーズ2連覇を果たしたレーシングドライバー 柳田真孝さんにインタビュー

2012.11.09 Fri

国内最高峰レースSUPER GT GT500クラスにおいてシリーズ2連覇を
達成した、レーシングドライバー柳田真孝さんをクローズアップ!
前半戦のどん底を抜け出した真の王者の素顔に迫ります。

「レース前は、お風呂とトイレをピッカピカにしますよ」
ジンクスはありますか?という僕の問いに、
柳田真孝は笑顔で答えた。
「僕、野球好きなんですけど、広島カープの前田健太投手もやっぱり
試合前にトイレ掃除するって知って、ちょっとうれしかったです」
柳田は笑うとき、ほんとうにうれしそうに笑う。
だからそこにいるひとすべてをあったかい気持ちにする。
「レースの数だけ、お風呂とトイレが綺麗になるってわけです」

(インタビュー記事は「続きを読む」から)

他にもジンクスはありますか?とさらに尋ねると、
「去年の第4戦菅生で勝ってから、
ウチのチームにあるゲン担ぎができちゃって・・・」
訊けばそれは『金曜日と土曜日、同じレストランで食事する』
ということらしい。
「だからもちろん、2連覇を決めたオートポリスのときもそうでしたよ」
今年の大分オートポリスでの戦いの話になると、表情がきゅっとしまった。
「とにかく、チームみんなが絶対負けない!絶対優勝する!って
気持ちなんです。これには背中を押されました。
誰も1ミリも疑ってない。みんなで戦ってるって思いが心強かった」

今年は前半からキツかった。シーズン半ばまで我慢が続いた。
眠れない。ネガティブなことを考える。レース場に行くのも嫌になる。
後で妻に聞けば、「つらそうだった」と言われた。
ストレスを抱えたとき、つらいとき、何をしますか?
そう訊くとすぐにこんな答えが返ってきた。
「カート、やります。火曜日ってカートレース場、すいてるんですよ。
そこで体をならします。スピードを体感し、走る楽しさを思い出すんです」
柳田は中学一年のとき、鈴鹿でF1を見てモータースポーツの虜になった。
エンジンの音、タイヤが焼ける匂い、目の前を行き過ぎるマシンの風。
それらを五感で感じ、父にカートをやりたいとせがんだ。
「カートがね、やっぱりイチバン、リフレッシュします」

レーシングドライバーが背負う試練。勝つこと。
「自分の師匠は、長谷見昌弘さんだと思ってますが、覚えている言葉に
こういうのがあります。『どんなに速くても、結果的にチャンピオンに
ならないと、名前は残らないよ』一番じゃなきゃ、ダメなんですよね」
オートポリスでの戦い。勝ったことはもちろんうれしかったけれど、
もっとも涙が出たのは、自分がマシンを任されている最中の、相棒ロニーの興奮ぶりだった。
日本人以上に日本人な几帳面で真面目なロニーの激しい感情、喜び、高揚。
「こいつとまた優勝できて、よかった」心からそう思った。

手を見せてもらった。優しい手だった。
親指の脇にタコができていた。
「グローブがすれるみたいで」
レース中の心拍数を計測したことがあるという。
体を固定されているにもかかわらず、心拍数は200近くまでいった。
ストレートではハッハッと息を吐くけれど、カーブでは息を止める。
その負荷は常人には想像もつかない。
彼はまぎれもなくトップアスリートだった。
「とにかく、一度、サーキットに足を運んでほしいですね。で、かつての
僕のように、五感で体感してワクワクしてほしいです」
また彼は優しく、笑った。

文・写真 北阪昌人