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『チーム日産~モータースポーツにかける者たち』 第10回 NISMO開発部 チーフエアロダイナミシスト  山本義隆

2013.06.14 Fri

日産モータースポーツを支える者たちに、あらたな光をあてるコラム。
第10回は、NISMOの空力設計担当、山本義隆。
数々の現場で、常により高い性能を追求してきた
孤高の設計者の素顔に迫ります。


「速そう!って本能的に思うもの、ありますよね。
たとえば、鳥。スズメやハトより、ツバメやワシのフォルム。
あのクチバシ、羽のギザギザを見ただけで、速いなって思います。
たとえば、魚。サメって、速そうですよね。速く見えるものには、
それなりの理由があると私は思います。だから、自然界に学ぶことは多い」

空力のエキスパート。マシンを速く走らせるために、空気抵抗と
ダウンフォースについて日夜考え続ける男、山本義隆。
今年、ドライバーからのこんな要求があったという。
『フロントはいいけど、リアが少し足りない』
山本はリアのパネルまわりにギザギザ状の切り欠き、いわゆる
『シャークティース(サメの歯)』を取り入れた。
自然界だけではない。ジェット機、新幹線、速そうに見えるものは
全て参考にして応用する。

「以前、アメリカの航空ショーを見にいって、
F16戦闘機のエンジン吸気口がいいなあって思って、取り入れました」
速さへのあくなき欲求はどこからくるのだろう・・・。
日本酒の醸造機械メーカーを営む父のもとで育った山本少年は
もともと機械いじりが好きだった。
「中学のときに、テレビでアメリカNASCARのレースを観たんです。
そのスピード感に圧倒されました」

彼を虜にしたものは速さだけではなかった。
「“本当に、この人たち、命を賭けてやってるなあ”って思ったんです。
世の中にいろんなスポーツがありますけど、時には命の危険さえ
あるものって、あまりほかにないですよね。
そのとき、この世界で生きたい!そう、思いました」
それをさらに決定づけたのは、伝説のドライバー、
ジル・ヴィルヌーヴの存在だった。
「勇猛でアグレッシブな走り、あの人がいる世界に自分もいたい!
あの頃、心底、そう思いました」
休日は何を?という質問にも
「常にデザインのことを考えているかもしれない」。
海外でたまたま家具を見ているときも、この椅子のフォルムは
参考になると思ったという。
「子供と釣りをしているときが、唯一の息抜きかな・・・。
あ、でも釣り上げた魚の形、やっぱりサメのエラの穴の数とか
いろいろ考えちゃいますね」

手を見せてもらった。
しなやかで長い指。繊細で頑固。常に一位を目指す手。
NISMOのショールームを案内してくれる彼の後ろ姿・・・。
聞けば空手の有段者。瞬時の動きが勝負を決める空手も
山本らしい種目かもしれない。
彼自身の体躯がまるでチーターのように速そうに見えた。

文・写真 北阪昌人